【耳鼻咽喉科】吃音について
Q子どもの吃音について教えてください。
A幼児期に発症する発話の障害です。
吃音は「おおおおおかあさん」「おかおかあさん」「…おかあさん」など、「繰り返す」「引き伸ばす」「つまる」といった症状で、ほとんどが幼児期に発症するといわれています。発症率は5~8%で7、8割以上が自然治癒し、就学後の有症率は1%程度とされています。なぜ発症するか解明されていませんが、近年は遺伝が素因の一つとして挙げられています。
子どもが言語を覚えて成長していく過程では単語がいえずに言い直したり、語句を繰り返したり、長い間が空いてから話し出すなど、吃音でない場合にも見られますし、また吃音であっても、知能の発達が遅れているわけでもありません。もし気になるようでしたら、一人で抱え込まずに受診されたら良いと思います。
Q吃音と診断されたらどうしたら良いですか?
A言葉のリハビリをしますがストレスなく話せる環境を
舌や脳の動きなど身体的な異常がなく、吃音と診断された場合、治療としては、専門の言語聴覚士による「言葉のリハビリ」を行います。目指すところは、心理的に負担なく、子どもが言いたいことを言える環境を整えることです。保護者をはじめ周囲が、子どものペースに合わせてゆっくり話を聞く時間と態度をとり、コミュニケーションをとりやすい環境をつくることが大切です。逆に症状を悪化させるNGな対応は「こうやって喋るんだよ」という指導や、「喋り方がおかしい」という指摘や否定的な態度をして、過度の心理的負担を子どもに与えることです。
吃音については、金沢大学人間社会研究域学校教育系の小林宏明教授による、WEBサイト「吃音ポータルサイト」が詳しく参考になりますので、ぜひご覧ください。子どもだけでなく、吃音に悩むのは「一人ではない」という仲間を見つけられる場所になっています。
「吃音を気にせずに、子どもがストレスなく、話したいことを話せる心理的に負担の無い環境を整えてあげましょう。」
金沢大学医学部附属病院
中西 庸介 先生
公立松任石川中央病院で2年間の臨床研修を経て、2008年、耳鼻咽喉科頭頸部外科勤務。日本耳鼻咽喉科学会専門医。