【小児科】感染症について

Q感染症について詳しく教えてください。

A病原体が体内に侵入する経路を知っておきましょう。

感染症とは、病原体(細菌やウイルス)が体に侵入して、症状が出る病気のことです。病原体が体に侵入しても症状が現れる場合と現れない場合があり、感染症になるかどうかは、病原体の感染力と体の抵抗力とのバランスで決まります。つまり、体の抵抗力が落ち込むと発症しやすいともいえます。

感染経路には、昆虫や動物などの人以外からうつる経路と、人からうつる経路があり、後者には「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」の3つがあります。①接触感染‥感染源(人や物)に直接接触して感染。〈病例〉とびひ(膿汁)、胃腸炎(吐物、下痢便)、病原体が付着した環境表面(机、ドアノブ、手すり)。②飛沫感染‥咳やクシャミで飛び散ったしぶき(飛沫)を直接吸い込んで感染。〈病例〉風邪、インフルエンザ。③空気感染‥空気中を漂う微細な粒子(飛沫核)を吸い込むことで感染。〈病例〉麻疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)これらの経路を断ち切ることが予防につながります。

Q子どもを守るために、親ができることは?

Aまずは、ワクチン、なければ徹底した手洗いとマスクを。

ワクチンがある感染症はワクチン接種で免疫をつけて予防できますが、ない感染症には様々な対策が必要になってきます。特に重要なのが「手洗い」です。感染者のクシャミや咳で飛び散った病原体は、数時間〜数日間、環境表面に生存します。その表面を触った手で顔(目、鼻、口)を触ったり、飲食したりして感染することが多いためです。

小さなお子さんの場合は、楽しく手洗いできるよう、手洗い練習スタンプなどを利用してもよいでしょう。保護者の方は、家のドアノブや手すり、遊具などの表面に付着した病原体を定期的に拭き取るなどして消毒してあげてください。

咳やくしゃみのある子には咳エチケットとしてマスクの装着をおすすめします。病原体を飛び散らさないよう、お互いにマスクを装着することで強力な感染予防につながります。人気のキャラクターが描かれたマスクを使用するなど、親子で楽しくマスク装着の習慣をつけましょう。

体力が落ちていると感染症を発症しやすくなるので、発症防止のために身体機能を高めることも大切。バランスのとれた食事、 十分な睡眠や休息といった規則正しい生活習慣がお子さんに身に付くように心がけましょう。

小児科

金沢医療センター

太田 和秀先生

富山医科薬科大学卒業後、金沢大学附属病院小児科を経て、現在は同センター教育研修部長に感染管理室長、小児科部長を兼任。