【小児科】夏の感染症について
Q夏の感染症について詳しく教えてください。
A高温多湿の環境で流行しやすい夏風邪です。
風邪を引き起こすウイルスの中には、高温多湿の環境で流行しやすいものがあり、それを「夏風邪」と呼びます。6カ月から5歳以下の乳幼児がかかりやすく、1歳児が最も多いです。代表的なウイルスとしては、ヘルパンギーナや手足口病を引き起こすエンテロウイルス、咽頭結膜熱(プール熱)を引き起こすアデノウイルスがあります。アデノウイルスのみ外来で検査できます。ヘルパンギーナは39度を超える高熱とのどに水疱。手足口病は39度台の熱と口の中に水疱、手のひらや足の裏、おしりに発疹。咽頭結膜熱は、39度を超える高熱と目の充血、扁桃腺が赤くなり白い膿が付きます。解熱後に発疹が出ることもあります。
どれも治療薬はなく、対症療法です。熱は2〜4日で下がりますが、のどの痛みの改善に1週間かかることもあります。のどの痛みが強く、高熱がある時は市販の熱さましを使っても良いです。発疹に対して薬は特別必要ありません。大事なことは、脱水に注意して水分をこまめにとり、食べられるものを食べ、ゆっくり休ませること。水分がとれていて、眠れているようなら必ずしも受診の必要はありません。自然に回復することがほとんどですが、元気がない、水分がとれない、そして熱が続くようなら日中にかかりつけの病院へ行ってください。
Qかからないための対策について教えてください。
A感染力が強いのでこまめに手を洗いましょう。
一般的には軽い病気とされていて予防接種はありません。経口感染(唾液や鼻水が口に入ること)によってうつることが多く、便からも感染します。帰宅後、食事前、オムツ替えやトイレ後の手洗いをこまめにすると良いでしょう。ただし感染力が強く、一度流行すると予防は難しいです。原因となるウイルスは数種類、しかも幾つも型があり、何度もかかることもあります。登園は熱がなく食事がとれれば大丈夫です。気軽に相談できる、かかりつけ医をあらかじめもっておくことが大事となります。
夏風邪は、よほど症状が重くない限り、睡眠と食事をとり、安静にしていることで自然に回復します
松田小児科医院
武田 万里子先生
金沢医科大学卒業。金沢医科大学病院小児科、恵寿総合病院、スマイルこどもクリニック松本院を経て現職。二児の母。