【皮膚科・小児皮膚科】アトピー性皮膚炎について

Qアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関連性は?

A荒れた皮膚から「経皮感作」が起きることがあります。

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下して外的刺激に敏感になり、乾燥や湿疹、あせも、かゆみなどを繰り返す疾患です。治療をしながら6カ月以上症状が続く、両親いずれかがアレルギー疾患または肌質が弱いなどの基準で診断されます。特徴的な症状として、冬場に乾燥しがちな腕、足、背中以外にお腹や顔も乾燥気味だったり、夏場に肘や膝まわりにあせもができたりします。早期に発見して保湿剤などでしっかりケアすれば、症状の悪化や慢性化を抑えることができます。

かつては食物アレルギーがある子どもがアトピー性皮膚炎を発症すると考えられていましたが、近年、バリア機能が低下した皮膚から原因食物が入り込んで食物アレルギーを発症する「経皮感作」のしくみがわかってきました。アトピー性皮膚炎のお子さんの場合、口やあごの荒れた皮膚から卵、牛乳、小麦などのアレルゲン食品が侵入して食物アレルギーを併発してしまうことがあるので注意しましょう。

アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド外用剤と保湿剤を併用しながら、肌のバリア機能を高めていきます。適切な量や塗り方をきちんと守れば、早ければ1週間ほどできれいな見た目になりますが、皮膚の下で炎症が残っている場合があるので、再発防止のため一定期間の経過観察が必要です。

Q生活の中でできる対策はありますか?

A手で洗う入浴法や保湿入浴剤がおすすめです。

最近、治療プロセスでアドバイスしているのが入浴法です。石けんやボティソープをしっかりと泡だて、スポンジやガーゼを使わず、手で優しく洗ってあげましょう。乾燥しがちな冬場は、お風呂に保湿入浴剤を入れるのもおすすめ。ドラッグストアに様々な種類があるので、合うものを探してみてもよいでしょう。また、新型コロナ対策による手洗いやアルコール消毒で、お子さんの手も荒れやすくなっています。ハンドクリームなどをこまめに塗って保湿を心がけてあげてください。

赤ちゃんの肌質の弱さを早めに発見してしっかりとケアすれば、
皮膚バリア機能は正常な状態に整っていきます。

皮膚科・小児皮膚科

なかそねひふ科クリニック

中曽根 裕子先生

金沢大学皮膚科学教室入局後、金沢大学附属病院など様々な病院を経て、現クリニック開業。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。