【産婦人科】産後うつについて

Qマタニティブルーと産後うつの違いは?

A産後の情緒不安定が一過性か継続するかの違いです。

出産数日後に気分が沈んだり、不安になったりするマタニティーブルーは半数ほどのママに現れる症状で、産後2週間以内に自然治癒します。しかし、こうした症状が数週間から数カ月も続き、家事や育児に支障をきたすほどであれば、産後うつの可能性があります。

診断には主に「エジンバラ産後うつ病質問票」が用いられ、産婦人科の1カ月健診でも活用されています。ただ、本人に自覚がなく、1カ月を過ぎて発症してしまった場合には発見が遅くなってしまうことも。自治体の乳幼児全戸訪問で保健師が気づいたり、様子がおかしいとご家族が病院に連れてこられることも少なくありません。

産後うつと診断された場合、医療機関での治療が必要ですが、まだ産後うつに詳しい医師が少なく、セーフティーネットが十分でないのが現状です。産後うつに詳しい医療機関を知ることが、予防や治療のカギといえるでしょう

Q産後うつの主な原因を教えてください。

A鉄分とビタミンB群の不足が大きな原因の一つです。

産後うつは近年急激に増加し、出産後10〜15%のママが発症します。その多くが鉄分不足、ビタミンB群不足です。鉄分やビタミンB群は、精神状態の活性化や安定化に役立つドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の生成に関わる重要な栄養素。不足する背景として、食生活の変化とスマホの普及が大きく関係しているといわれます。甘いパンやお菓子の食べ過ぎ、スマホによる目や脳の疲れがビタミンB群不足を加速させ、出産で必然的に生じる鉄分不足と相まって精神の不調を引き起こすのです。

産後うつを防ぐには産前産後の栄養管理が大切。当院では、鉄分やビタミンB群を補う肉・魚を取り入れるなど、産前産後の食事指導を積極的に行っています。また、栄養不足による産後うつは、医療用サプリによって高い効果が期待できます。症状に悩む方は取り扱う当院や医王ケ丘病院の魚谷先生にご相談ください。

産前産後に肉や魚を積極的に摂ることが、産後うつ予防につながります。
甘いパンやお菓子はなるべく控えて。

生駒 友美先生

産婦人科

いこまともみレディースクリニック

生駒 友美先生

金沢大学医学部卒。福井県立病院、金沢大学病院などで勤務後、2011年に現クリニック開業。2021年4月、産科分院開設。