対人ネットワークの中で育つ子どもの心
子育て仲間を増やそう
子育て中のママ21人が参加。子ども連れのママが多く、和やかな雰囲気で講演が始まりました。「子育てをする中で知り合いを増やすことはとても重要なこと」と米川先生。まずは自分の名前や出身地、好きなこと、子育てで思うことなどを書いた名刺代わりの用紙を見せ合いながら、近くに座ったママ同士で自己紹介をしました。
人間の土台をつくる乳児期
その後、グー・チョキ・パーのうちグループの仲間と何回同じものを出せるかを数える「アドジャン」で交流を図りました。「同じものが出たときのうれしさ、他人と自分が『合う』という喜びは大人も子どもも同じ。人間は本能として人とつながりたいという欲求を持っています。赤ちゃんは人の顔が好きで、じーっと見つめます。すると大人は思わず『かわいいね』と言ってしまいますね。それが言葉を獲得しようとする赤ちゃんの“戦略”。生まれてから約1年間で、目が合う、表情が合う、声が合うという『合う』行為をたくさん経験することによって、『人っていいな』という感覚がしみ込み、人間の土台がつくられていきます」。
「人見知り」は大事な行為
特定の人との間に形成される愛情の絆のことを「愛着」といい、赤ちゃんは生後約1年間で、ママと深い「愛着関係」を築きます。「愛着関係は人間関係の基本です。愛着関係の証明となるのが『人見知り』という行為。人見知りがあることは特別な人とそうでない人の区別がつくようになったという喜ぶべき発達のしるし。ママとの愛着関係をモデルにしてどんどん他の人との関係を拡げていくのです」。
ストレスを流さない親に
参加者の中で夫や自分の親と同居している人は全体の3分の1。米川先生は能登の地域性に着目し、「家族が多いことは子どもにとってとても幸せなこと。でも、たくさんの人に出会うのはその分ストレスも増えるということです」とストレスの法則について教えてくれました。「ストレスは強い立場の者から、弱い立場の者へ流れます。家庭内の立場でパパが1番、ママが2番、子どもが3番の場合、パパの職場でのストレスがママに伝わり、そのストレスをママはパパにぶつけられないので子どもにぶつけ、子どもはそのストレスをさらに立場の弱いペットなどにぶつけてしまう、という流れができてしまうのです。親から子へ過度なストレスを流さないためにも、親自身がストレスをコントロールできるようになりましょう」。
プラスの気持ちを蓄えて
「ストローク」とは、人と人との間にある精神的なやりとりのこと。人から褒められてうれしいときは「プラスのストロークをもらった」、上司から叱られてイライラしたときは「マイナスのストロークをもらった」という表現になるそうです。「人はプラスのストロークを欲しがりますが、十分に得られないときにはあえてマイナスのストロークを求めてしまう傾向があります。例えば、ママに抱っこしてもらいたい欲求がある子が、抱っこしてもらえないばっかりに反抗的な態度を取り、結局ママに怒られてしまうようなときです。もし子どもが悪いことをしたときは、行動だけを見て叱るのではなく、背景にある『その子が一番欲求していることが何なのか』を考えましょう。親がイライラしていたら子どもの気持ちを理解することはできません。なるべく親自身も『うれしい』『ありがとう』などプラスのストロークを自分の中で意識して蓄えることが必要です」。講演後、参加者からは「受け取り方を意識して、プラスのストロークをどんどん蓄えようと思います」「ストレスを溜めないようにするヒントが得られました」などの声が聞かれました。