北島 一恵さん

家庭を子どもが安心できる場所に

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近江町ちびっこ広場で開かれた「親子ペンギン教室」で。外部講師としてふれあい遊びの指導や子育て相談などを担当。

子どもは飛行機
家庭は飛行場

 「木も子育ても根っこが大事!根っこがしっかり張っていれば、大風が吹いても大丈夫」。
 金沢市の近江町ちびっこ広場で開かれた「親子ペンギン教室」で、北島さんが1歳9カ月から2歳までの子どもがいるママに語りかけた言葉です。
 子どもが大好きで、「私にはこれしかない!」と保育士の資格を取った北島さん。県の中央児童相談所で一時的に保護された子どもたちを見守る仕事に就きました。一時保護所で子どもたちを見ていて、家庭の大切さを痛感したそうです。そのことを例えて次のように、ママたちに伝えています。
 「子どもは飛行機、家庭・母親は飛行場。しっかり燃料(愛)を充填してあげれば、飛行機は安心して飛び立っていけるんです。それが不十分だと問題がおきたり、自分を受け入れてくれるところへ飛行(非行)してしまうんです」。
 北島さん自身、子育てが落ち着くまでは仕事を辞め、家庭に入りました。その後、保育士を経て、県立社会教育センター(現・県立図書館のブックスタートルーム)で19年にわたって、親子におもちゃの選び方、与え方、遊ばせ方を伝えました。

子どもと向き合い
気持ちに寄り添って

 「最近、子どもに自立を急がせているお母さんが多い気がします。しっかり甘えさせれば自然に自立していくんですが、そうではなく、自立させようとする傾向がありますね」。また、子どもの自由を尊重しすぎる傾向もあると注意を促します。
 「自由の中にも制約があるということ。メリハリをきちんとつけることを教えないと」。親子や保育士の卵たちと関わるなかで北島さんが感じてきたことです。
 さらに気になるのは、子育ても外注しているように感じられることです。
 「例えば、お箸の持ち方なんかでも、昔は親が教えたけど、保育所でしてくださいというお母さんもいるようですよ。またささいなことでも情報がありすぎて、取捨選択ができにくくなっているんですよね」。
 まずは、わが子をしっかり観察することが大切だと北島さん。
 「子どもとしっかり向き合って、気持ちに共感すると、子どもは親が自分を見守ってくれていると思う。そうすると子どもとパイプがつながり、親の言うことも聞いてくれるようになりますよ。保育士にも言えることですが、子どもたちは遊びの中で学んでいます。その学びの芽を摘んでしまわないようにしてあげてほしいですね」。
 この春で専門学校を退職する北島さんですが、これからも地域で、親子を見守り続けます。

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北島 一恵さん

石川県中央児童相談所の一時保護所、民間保育園での保育士を経て、当時の県立社会教育センターで19年間、親子を対象におもちゃの選び方、与え方などを指導。1992年には自宅を開放して「おしゃべり広場」を開設。1997年に民生・主任児童委員となり、押野児童館でママサークル「こあらっこ」を立ち上げる。石川県保育専門学校、金沢福祉専門学校の講師として保育士の養成にも携わる。3月に退職予定。金沢市介護相談員。