私の子育て支援 vol.11(p27)

2016年12月25日

幼児期の自然体験が人への思いやりに

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虫取りに夢中になる子どもたち。写真は、定期的に開催している、かが市民環境会議の親子自然体験活動の様子。

人生を決めた
幼児期の自然体験

 清らかな川の上流、木漏れ日で水面がキラキラと輝き、辺りには黄色い花、ヒキガエルの鳴き声。小学校2年生のころ「理屈なしで感動」し、半日もの間、その景色の中で座っていたそうです。小さなころから自然が好きで、地元の加賀市三谷地区の野山を遊び相手に育ったという西山さん。今でもその情景を覚えているそうです。「幼児から小学校低学年までの自然体験がもたらす影響は大きい。その時期の子どもたちは『自然を手でみる』。植物や虫に自然に触れ、匂いをかぐなど五感で感じ、人間以外の生物に対する興味や関心が育まれます」。
 西山さんは東京農業大学造園科を卒業。地元に戻り、家業の土木工事の仕事をしながら、30代のころから20年間、福祉施設で夜間に中学生の受験勉強をサポートするボランティア活動も行ってきました。「子どもたちのために何かしたいという思いも、自然から受けた影響」と話します。
 西山さんはいしかわ自然学校のインストラクターにも登録しています。地元の小学校の子どもたちに「森林教室」や「里山教室」などで自然の大切さを伝える活動を続けています。

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小学校での自然教室の後、子どもたちから送られた感想文の冊子。幼児向けの自然遊びのプログラムは多数あり、要請があれば園児向けにも受けてくれるとのこと。

放置した森は暗くなる
里山を再生する「人の手」

 まっさらな裸地にはまず草が生え、木が生え、最終的に常緑広葉樹に覆われます。その森の中は光の届かない暗い世界です。「かつて山で生活していた人の草刈りや木の伐採などの営みが減り、放置された森は生物種が減ります。里山再生には人の手が必要です」。西山さんは県内でも数少ない一級ビオトープ施工管理士の資格を持ちます。ビオトープとはドイツ語でBio(生物)が生息するTop(空間)のことをいいます。「自然を再生することは、人が生きていくうえでとても大切です。人も自然の一部なのですから」。

東京の一流シェフとの出会い
里山再生に幅広い活動

 世界のトップシェフといわれる成澤由浩さんの南青山のレストランでは、三谷地区の山野草を使っています。それは西山さんが三谷地区の里山を案内したことがきっかけです。2011年11月、県内で行われた世界の料理人が集う食のイベント「Cook It Raw(クック・イット・ロー)」に参加した成澤さんが、食材選びで加賀市を訪れた際、里山に自生する200種類以上ある山野草にほれ込んだためです。以来、成澤さんと西山さんとの交流は続いています。「人との出会いは大切です。幅広い視点で、里山を守る活動を続けていきたいです」。

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樹木医・松保護士・一級ビオトープ施工管理士

西山 義春さん

加賀市出身。株式会社加賀自然環境研究所の代表取締役。自然環境を考える「かが市民環境会議」副会長。子どもたちに紙芝居を披露するなど、加賀海岸の松を守る活動をする「白砂青松の会」、山菜を食べる「里山楽遊会」など幅広く活動を続ける。