私の子育て支援 vol.9(p29)

2016年8月25日

生きづらさを、一人で我慢しないで


相談者の置かれた状況は多種多様。一人ひとりの話にじっくりと耳を傾け、寄り添う姿勢を大切にしています。

暴力を受けて傷ついた
女性と子どもに心のケアを

 「小さな赤ちゃんやお子様を連れて相談に来られる方が、本当に多くいます」。そう語る坂井さんは、金沢市の元職員。金沢市女性相談支援室の室長などを務めた経験から、DV被害者に対する民間支援の必要性を強く感じ、2015年にWEKプロジェクトを設立されました。
 活動の中核となっているのは「かなざわDVサポート凪」の運営です。DV被害という同じ悩みを持つ人たちが集まって話せる場を定期的に設け、暴力を受けた母親と子どもの心のケアにも取り組んでいます。
 「DVサポートと子どもの支援は、決して切り離せない問題です。暴力から子どもを守ることはもちろん、傷ついてしまった心をケアすることも非常に大切。母親と子どもが同時に受けられるカウンセリングプログラムなどを用意して、心身を癒し、自尊心を取り戻せるよう支援しています」。

言葉の暴力や精神的支配も
心を傷つけるDVのひとつ

 近年、男性の育児参加が推進されている一方で、夫の暴力や、モラルハラスメントと呼ばれる言葉の暴力に悩む女性もまだまだ多いと坂井さんは言います。外ではイクメンだと思われている夫が妻を精神的に追い詰めているケースや、夫が実家に依存して妻の気持ちを尊重しないケースなど、自覚のないDVも数多く存在しているそうです。
 「離婚に向けて動き出す方や、夫との関係を築き直す方など、ゴールは人それぞれ。私たちはただ話を聞いて、相談者さんが自分らしく生きるための手助けをしたいと思っています」。

自分の気持ちを話すことが
問題解決への第一歩

 WEKプロジェクトではDVサポート以外にも、子育てや夫婦関係の悩みを気軽に話し合える座談会「思いっきりふぇみトーク」を開催しています。座談会は月に1度のペースで開かれており、各回のテーマは「子育てって、母親だけの仕事じゃないし!」「家政婦?雑用係?何でもかんでも私をアテにせんといて!」など、リアルなものばかり。
 「幸せそうな家族でも、女性が我慢を強いられて生きづらさを感じている家庭は少なくありません。そして多くの女性が『夫は話を聴いてくれない』『誰にも分かってもらえない』と感じているのです。共感してくれる相手を見つけ、自分の気持ちを正直に話すことは問題解決への第一歩。一人でつらい、と感じたときにはどうか、私たちの活動を思い出してください」。

Women′s Empowerment Kanazawa プロジェクト

女性や子どもたちが自分らしく生きていけるよう、様々な角度からエンパワーメントするプロジェクトチーム。DV被害者支援ボランティアグループ「凪」の運営などを通して、暴力を受けた女性と子どもの支援に取り組んでいる。
●お問い合わせ 076-255-7582

Women′s Empowerment Kanazawa(WEK) プロジェクト代表

坂井 美津江さん

金沢市職員として40年間勤め、金沢市女性相談支援室の室長など福祉分野の要職を歴任。2015年、市役所を退職し、WEKプロジェクトを設立。行政とも連携しながら、民間団体だからこそ実現できる、相談者の生活に寄り添った支援に取り組んでいる。