産後、お腹に力を入れると少し尿がもれる気がします。治りますか?

浦田先生の回答
尿失禁などは骨盤底筋群の脆弱化が原因。
体操で機能を高め、予防しましょう。

尿失禁、原因は出産などによる骨盤底筋群の緩み

女性の骨盤内には膀胱・子宮・直腸といった臓器があって、その臓器は骨盤底筋群が支えています。この骨盤底筋群が、加齢や出産(特に多数回)、肥満、便秘、骨盤内の外科的手術などによって緩むと、臓器の位置が変わり、そのためにさまざまな問題が起こるようになります。その代表が 1.腹圧性尿失禁 「お腹に力を入れると尿がもれる」 2.骨盤内臓器脱(性器脱)「腟から膀胱・子宮・直腸などの臓器が下がってくる」 と呼ばれる疾患です。

予防には骨盤底筋体操
気になる場合は受診して

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骨盤底筋体操。1日数回、3カ月ほど続けると、機能の補強・回復に効果があるそう。

米国では約3人に1人の女性に何らかの尿失禁があり、その多くが腹圧性尿失禁だといわれています。日本では10~46%程度いるだろうと報告されているので、これらの病気に悩んでいる方は決して少なくないのです。

予防には骨盤底筋群になるべく負担をかけないことが一番ですが、多くの女性は産後も1日中子どもの抱っこなどで、なかなかそのようなわけにはいきません。骨盤底筋群の脆弱化は女性の宿命とも思えるほどです。

最も簡便で唯一の予防法として骨盤底筋体操があります。この体操では肛門挙筋および尿道、周囲、腟周囲の尿道括約筋を意識的に締めたり緩めたりします。また金沢大学附属病院では、女性が周りを気にせずに受診できる女性泌尿器科外来(女性のみが受診できる時間)を運営しています。看護師、受付、検査師はすべて女性です。一人で悩まずに、受診してください。