子どもの手荒れが気になります。対処法や何か気をつけることなどはありますか?

田中先生の回答
清潔を保つことは良いことですが、石けんやハンドソープの過度な使用は控えるようにしましょう

手洗いの習慣化による
“洗いすぎ”には注意を

子どもの手荒れの原因の1つとしては、過剰な手洗いも考えられます。最近はインフルエンザやノロウイルス対策として、殺菌力の強い石けんや薬用ソープを使い、手洗いを励行しているという声を耳にします。しかし、これらは多用すると、皮膚に刺激を与え、手荒れを引き起こす原因となってしまいます。

本来バリア機能を持つ皮脂までを取り除くことになり、その結果、乾燥を引き起こします。つまり、洗いすぎによって手が荒れるというケースは、大いにありえるのです。

実は、手についている菌は、市販のソープ等で死滅することはほとんどありません。「殺菌」ということに神経質になるのではなく、菌は生きたままでも、手から離れればよいので、水道水の流水でも手洗いは十分なのです。ハンドソープの使用は、「帰宅時のみ」や、多くても「食前だけ」と制限した方が良いでしょう。1日に4、5回は過度と言えるのです。

塗り薬は断続的な使用を心がけましょう

また、実際に手が荒れてしまった場合の対処法ですが、手荒れにも段階があります。少し皮がむけた程度であれば、外用薬を1週間も塗れば完治します。一般的なステロイド軟膏は、断続的な使用であれば、体への影響の心配もありません。

ひび割れなど、症状が重い場合は、細菌感染の恐れもあるため、市販の薬ではなく、専門医による適切な診療をお勧めします。子どもは比較的に治癒力も高いので、ひどくなる前に早めの対応をしてあげましょう。

田中 武司 先生

田中 武司 先生

田中皮ふ科クリニック 院長

金沢大学医学部卒業。金沢大学皮膚科学教室を経て1995年より現職。日本皮膚科学会、日本アレルギー学会等所属。