生まれてすぐに陰嚢が大きいと言われました。今後どうすれば良いか教えてください

下竹先生の回答
陰嚢水腫である場合が多いため、1歳くらいまでは様子を見ると良いでしょう。検診をきちんと受け、心配な場合は小児科の先生に相談しましょう。

1歳未満の男の赤ちゃんに
多く見られる陰嚢水腫〔いんのうすいしゅ〕

陰嚢(おちんちんの袋)が大きいと言われる原因として、まず陰嚢水腫が挙げられます。これは精巣(睾丸)の周りに液体がたまり、陰嚢が膨らんでいる状態で、男の赤ちゃんには比較的高頻度に見られます。もともと精巣は、胎児期には赤ちゃんのお腹の中にあって、発達の段階で陰嚢まで降りてきます。この時、腹膜が一時的に陰嚢の中まで突起を作り、精巣の通路となっているのです。
そして、本来であれば生まれる前にお腹とつながる通路が閉じられ、突起も消えるのですが、それが完全に閉じずに、お腹の水が陰嚢まで降りて、たまってしまっているわけです。

鼠径〔そけい〕ヘルニアなど
治療(手術)が必要な病気も

陰嚢水腫は、1歳くらいまでに自然治癒することが多いため、特に治療の必要はないでしょう。
しかし、同じプロセスで生じた通路がより広く残り、内臓が陰嚢まで降りてきてしまう、鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)と呼ばれる病気も存在します。通路に腸が挟まって痛みを伴ったり、締め付けられて壊死する危険性もあるので、早めの治療(手術)が望ましいでしょう。
陰嚢に関しては、乳児検診でしっかりと診察します。まずは検診をきちんと受けたうえで症状を明確にし、心配な場合は小児科の先生に相談されることをおすすめします。
また、きわめて希ですが、精巣上体炎、精巣捻転、精巣腫瘍など、急いで治療が必要な病気もあることを知っておくとよいでしょう。

下竹 孝志 先生

下竹 孝志 先生

石川県立中央病院 医師

金沢大学医学部卒業。京都府立こども病院小児外科講師を経て、2007年より現職。日本小児外科学会指導医・小児外科専門医。