解熱剤は『熱が高くて元気がないときに』と処方されますが、使うタイミングがわかりません
吉田先生の回答
基本的には解熱剤は使わなくても大丈夫。
熱を下げるのではなく、熱や風邪による痛みに鎮痛剤として使ってあげるのはいいでしょう。
熱を下げるのではなく、熱や風邪による痛みに鎮痛剤として使ってあげるのはいいでしょう。
熱を無理に下げると
風邪の治りが遅くなる!?
ウイルスや細菌の多くは、高温を嫌います。ですから、これらが体内に入ると、生体防御反応で熱が上がります。また、熱が上がることで、ウイルスをやっつける白血球の働きが活発になります。高熱のせいで脳の細胞が壊れたり、脳症になったりするのではと心配される方もいますが、そんなことはありません。解熱剤を使って熱を下げると、白血球の働きが弱まって、再びウイルスが増殖し、風邪の治りが遅くなりかねません。
体温を決めているのは体の体温中枢というところです。体にとって必要だから、熱が上がっているわけです。解熱剤で一旦は下がっても、設定温度が変わらなければ、再び体温は上がります。無理に下げていた分、熱が一気に上がるので、ひどい悪寒や戦慄を伴い、余計に体力を消耗することになります。
熱によって起こる痛み
解熱剤には鎮痛作用も
熱が上がると、体内では痛みを引き起こす物質が分泌されるので、頭痛や関節痛の症状が出ることがあります。小児科で処方する解熱剤は鎮痛剤としても働きます。おたふくや中耳炎など子どもがひどい痛みを訴えるようなら、熱がなくても使ってもいいでしょう。
熱が高い=重症というわけでもなく、突発性発疹やアデノウイルス感染は熱は高くても、元気なことがよくあります。また、解熱剤で熱性けいれんを予防することはできません。熱が続く場合は、他の病気が隠れていることがあるので、かかりつけ医の指示に従いましょう。
吉田 均 先生
よしだ小児科クリニック 院長
金沢大学卒業後、同大学で小児心臓病の超音波診断を研究。1982年シカゴ大学に留学。1991年より現職。現在「原発の危険から子供を守る北陸医師の会」世話人を務める。