子どもの咳が長く続き心配です。咳の原因や予防について詳しく教えてください

米谷先生の回答
咳の原因は様々ですが、ときに重症感染症の可能性も。四種混合ワクチンは必ず接種しましょう。

長く続く咳を特徴とする
乳児期に注意が必要な感染症

小児での長く続く「咳」の原因には、感染症の他にも喘息や鼻疾患など様々なものが挙げられます。今回は乳児期に注意が必要な代表的な感染症、RSウイルス感染症と百日咳についてお話します。
RSウイルス感染症は多量の鼻水と激しい咳、ゼロゼロした呼吸が特徴です。多くの場合軽症で経過しますが、乳児期に感染すると重症化しやすく哺乳や睡眠に支障をきたす場合があります。以前は冬の代表的な感染症でしたが、近年は夏場にも流行することがあり注意が必要です。
百日咳は感染すると特有のコンコンとした激しい咳が出ます。顔が真っ赤になるほど咳こみ、最後にヒューっと笛を吹くような音を立てて息を吸うのが特徴です。乳児期にかかると重症化することがあり、無呼吸、肺炎、けいれんや脳障害を併発することがあります。発見早期に抗生剤を投与して治療をしますが、それでも完治に数カ月かかる場合があります。百日咳の感染や重症化の予防には四種混合ワクチンの接種が大切です。生後3カ月からの接種が推奨されていますので、忘れずに接種してください。

子どもの咳に対しての考え方

咳は本来、生体の防御反応の一つであり、すべて止めればよいというものではありません。ただ、睡眠や哺乳に支障をきたすような咳が続くことは決して好ましいものではありません。ご家庭では咳症状をやわらげるために、部屋の湿度をあげ、水分をこまめに与えるのがよいでしょう。それでも症状が一晩中続くような場合には、病院を受診してください。

米谷 博 先生

米谷 博 先生

芳珠記念病院 小児科医長

2002年福井大学卒業後、同大学小児科学教室を経て、2014年4月より現職。日本小児科学会小児科専門医、日本小児神経学会小児神経専門医。