最近よく聞く『出生前診断』ってどんな検査ですか?みんな受けた方がいいの?
杉浦先生の回答
胎児に染色体異常などが起きるリスクが高い妊婦さんが対象。検査はよく考えてから。
対象になるのは高齢妊娠や
胎児に異常が疑われる場合
妊娠9週~18週くらいまでに行われる検査で、胎児の先天的な病気などがわかります。高齢妊娠(35歳以上)や過去に染色体異常の子を産んだことのある人、染色体異常の保因者である場合などが対象になります。
【羊水検査】
妊娠16週ころに行い、2週間ほどで結果が出ます。お腹に針を刺して羊水を10ccほど取り、胎児の皮膚細胞を培養して、染色体異常を調べます。流産リスクは0・3%くらいで、ほぼ100%の確率で異常がわかります。
【母体血清マーカー(クワトロテスト)】
妊娠16~18週ころに母親の血清を採って、血清中のホルモンやタンパク質から染色体異常の確率を計算します。高年齢では高い確率で出るので、高年齢の方には向かないかもしれません。
【超音波検査】
妊娠8~10週で、胎児の後頸部のむくみを調べます。5㎜以上だと10%の確率で21トリソミーがあると言われています。
胎児のDNAを調べる
新型出生前診断が問題に
母親の血液で胎児のDNAを調べる【新型出生前診断】が2013年春から始まりました。妊娠10~22週まで検査可能、100%の精度ではありませんが、流産の危険はありません。確定には羊水診断が必要です。費用は10~20万円、石川県内では受けられません。
安易に検査をする人が増えて、異常が見つかれば妊娠中絶につながる可能性もあり、胎児の「生命」を考える上では問題です。十分なカウンセリングが必要と考えます。
杉浦 幸一 先生
杉浦クリニック 院長
金沢大学医学部卒業、金沢医科大学助教授などを経て、1988年より現職。医学博士、ウイルス学優性保護法指定医、日本産婦人科学会認定医、金沢大学非常勤講師。