保育園で“ヒトメタニューモウイルス”が流行っている と言われました。どんな病気でしょうか?

井上先生の回答
2001年に発見されたウイルスです。
風邪と区別がつかない症状で、大人もかかります。
かかってしまったら十分な水分補給と静養を

10歳ごろまでに1度は感染  風邪に似た症状

“ヒトメタニューモウイルス”は2001年に発見され、2014年に検査キットが登場したため、まだ馴染みの薄いウイルスだと思います。3月から6月が流行のピークで、主な症状は咳・鼻水・発熱なので、普通の風邪と区別がつきません。10歳ごろまでに1度は感染すると言われています。主に飛沫感染ですので、保育園などの集団生活では流行しやすいと考えられます。
ヒトメタニューモウイルス感染は、咳が約1週間、発熱が4~5日間と、風邪にしてはやや症状が長めな印象があります。また、悪化すると呼吸がゼーゼーして苦しくなったり、中耳炎や肺炎を合併することもあります。

丁寧な手洗いとうがいを習慣にして予防を

予防接種や抗ウイルス薬は存在しないので、かかってしまったら風邪薬や解熱剤を上手に使って、しっかり水分をとり、ゆっくり休みましょう。ゼーゼーが強くて水分がとれなかったり、ぐったりしている場合は入院して治療することもあります。
予防方法は、飛沫感染・接触感染を防ぐことが大切ですので、日頃から丁寧な手洗いとうがいをする習慣を身につけておきましょう。ヒトメタニューモウイルスは子どもだけの病気ではなく、大人でもかかることがあり、特に高齢者の方は重症化することもあるので、風邪が長引いておかしいなと思ったら受診することをおすすめします。

井上 雅之 先生

金沢赤十字病院

金沢大学医学部卒業。石川県立中央病院、公立能登総合病院、金沢大学附属病院を経て現在、金沢赤十字病院小児科部長。日本小児科学会専門医。