「水中毒」という言葉を聞きました。 子どもにも関係がありますか?
武石先生の回答
水中毒は、乳幼児でも少ないですが報告例があります。最終的に意識障害者やけいれんなど重い症状を引き起こすことがあるので、疑わしいときは受診しましょう。
けいれんや意識障害、乳幼児も注意が必要
「水中毒」とは、大量の水分が体の中に入ることにより、血液が薄められて、中でもナトリウムの濃度が薄くなることで、けいれんや意識障害などの重い症状を引き起こすものです。自分で飲む量の調整ができない乳幼児でも少ないながら報告例があります。
胃腸炎で食事が摂れない時や、夏の熱中症対策でスポーツ飲料やイオン水を飲ませることがあると思いますが、これらは飲みやすさの点では優れていますが、糖分が多く電解質が少ないため、これらだけを飲んでいると、低ナトリウム血症に陥る危険があります。そのため、他に摂取できない場合は、治療用経口電解質液を選ぶ方がよいと考えられます。
また、他に水中毒が起こる状況としては、ベビースイミングがあります。まだ息継ぎが習得できていない乳児の段階では、泳いでいる時にかなり大量の水を飲んでいる子もいるようです。
水分の適切な摂取量はそれぞれ。脱水が疑われるときは受診を
症状としては、最初は不機嫌になり、ぐったりします。さらには異常に興奮したり、大量に水を嘔吐し、最終的には意識障害やけいれんといった重い症状も引き起こすので、注意が必要です。
具体的にどのくらいの量を摂取すればよいかというのは、その時のお子さんの状態にもよって異なってくるので、脱水が疑われる時には、まず治療用経口電解質液を選択し、それでもしばらく他のものが摂れない時には病院を受診するようにしましょう。
武石 大輔 先生
城北病院
金沢大学医学部卒業後、相模原病院、東京慈恵会医科大学第三病院を経て現在、城北病院小児科部長。日本小児科学会認定専門医。日本アレルギー学会専門医。