妊娠中の体重管理はどのようなことに 注意すればいいでしょうか?

濱崎先生の回答
塩分の摂り方に注意しましょう。普段の生活よりも摂取を控え、身体を圧迫しないことなどを心がけてください。

妊娠中は塩分が体内に引きつけられやすい

妊娠中の理想的な体重の増加は7~8㎏といわれています。妊娠後半になれば、赤ちゃんが1日に300~400キロカロリーものエネルギー(ご飯にして茶碗2杯強)を消費するようになり、普段通りの食生活であれば、単純にこれだけのカロリーが不足していることになります。バランスのとれた食事が重要ですが、特に塩分の摂り方に注意が必要です。

妊娠中は黄体ホルモンの関係で、塩分が身体の中に引きつけられます。塩分の摂取が非常に困難だった原始時代には、この働きが体内での水分の蓄えにつながり、出産時の出血リスクに対する備えとなりました。

塩分の過剰摂取が体重増につながる

石川県民の1日当たりの平均塩分摂取量は約15g程度。妊婦の場合は1日当たり7~9g程度が好ましいとされており、普段通りに食べたとすると過剰摂取になってしまいます。おかずをたくさん食べて、塩分が20~30gにもなっていたとしたらどうでしょう。

塩分1gが身体の中で浸透圧のバランスを保つためには、約100gの水が必要になります。単純計算でこれが30日続くと100g×30日=3㎏の体重増加という図式になっていくのです。この行き着く先が、典型的な難産であり、ひいては妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)にもつながります。

必要のない時にはできるだけ腹帯などの圧迫を避け、身体を休めることによって腎臓への血液の流れを増やすようにしましょう。それによって尿量が増えれば、塩分の排泄もスムーズになります。塩分を控え、「疲れたら休む」「身体を圧迫しない」「栄養はしっかり摂る」。これらを守るだけでも体重は意外に増えないものなのです。