子どもの「脱臼」について教えてください。

土田先生の回答
子どもの脱臼は肩ではなく肘内障の場合が多いです。整復後も、手を引っ張ったり肘を捻じらないように注意しましょう

腕が曲げ伸ばせない。肘関節の亜脱臼

お子さんと手をつないでいて、お子さんが転びそうになって思わず腕を引っ張ると、腕を痛がり、腕をだらんとしたままで、腕の曲げ伸ばしができなくなります。肩が外れたのかと思うことがあると思いますが、肘内障(ちゅうないしょう)のことが多いです。
肘内障とは、肘の骨の一部が関節から外れて、肘関節が亜脱臼している状態です。原因として、誰かに腕を引っ張られたり、転んで床に手をついた時や、不自然な姿勢で寝返りした時などに生じます。肘内障は、肘を動かせず上肢がだらんとしたままで、動かせません。肩や手を触るだけでも肘が動くために痛くて、激しく泣くことが多いです。
肘を動かさないようにして、肩を動かしても痛がらない、おもちゃを手で握れるようなら、肘内障が考えられます。

整復後も数日間は外れやすいので注意

肘内障の治療法は、肘関節をゆっくりと屈伸させると、「クリッ」とした整復音を感じ、肘関節の屈伸が容易となります。多くの場合、しばらくすると一人で肘を動かせるようになりますが、まだ動かさない場合、完全脱臼や骨折ではないか、X線検査を行います。整復されてからも数日間は肘が外れやすいので、手を引っ張らないようにし、衣服を着脱する時に肘を捻じらないようにしてください。小学生になる頃には脱臼しなくなります。

土田整形外科クリニック 土田先生

土田 敏典 先生

土田整形外科クリニック

金沢大学医学部卒業、恵寿総合病院勤務を経て、2007年より現職。日本整形外科学会認定専門医、日本リハビリテーション医学会認定専門医。