よく『食育』という言葉を耳にしますが、赤ちゃんのころはどうすればいいですか?

阿部先生の回答
子どもの発育、発達過程に合わせた“食べる力”を身につけることが大切です。年齢別の目標を参考にしてください

離乳期に身につけさせたい
食べるのに必要な3要素

 『食育』は食を通じて健全な心身を成長育成させるという考えで、国が平成17年に「食育基本法」を制定、国民運動の一環として広く定着しつつあります。食育は、人生の各ステージで重要な意味を持ちますが、なかでも乳幼児期においては特に大切です。赤ちゃんは授乳から離乳へと移行します。離乳は、大人と同じものを食べるのに必要な「食べ物を口に取り込む(捕食)」「食べ物を潰して唾液と混ぜることで消化を促す(咀嚼)」「食べ物を飲み込む(嚥下)」の3つについて時間をかけて学び、身につけるための大切な過程です。このころから食育が始まるといってよいでしょう。この時期に子どもの発育、発達過程に応じた「食べる力」を育てる必要があります。

就学期までを4つに区分し
食育の目標の習慣化を

 具体的には、子どもの発達に沿って就学時までの期間を4つに区分し、食育の目標を掲げて習慣化させる方法があります。

①0~1.5歳ごろ:生きるための本能的な行動を育てる→良くかんで食べる
②1.5~3歳ごろ:毎日繰り返される集団的な行動を育てる→きちんと食べる
③3~4.5歳ごろ:自分で考えて食べる知的な行動を育てる→なんでも食べる
④4.5歳~就学時:社会の一員として生きる行動を育てる→みんなと食べる

この方法を参考に、子どもの食育に取り組んではいかがでしょうか。

 日本歯科医師会は、07年に「食育推進宣言」を発表し、「食べ方」を重視した歯科からの食育を提言、推進しています。最近の研究では、早食いなどの食べ方が肥満と関連することが明らかになりました。成人期以降の食生活や生活習慣病の予防にも影響を与えるこの時期の食育は大変重要と言えます。

(協力:石川県歯科医師会)