妊娠中のストレスは胎児にどのような影響を与えますか。

早稲田先生の回答
妊娠中のストレスは子宮内胎児発育遅滞(FGR)を引き起こす場合があります。

赤ちゃんの発育不全 ストレスが影響することも

 ストレスと一言で言っても、個人によってその原因は、仕事だったり、不規則な生活だったり、あるいは義父母との確執だったりと様々です。もちろん、精神的なストレスだけでなく、身体的なものもあります。例えば、営業職などで立ち仕事が多い人は、妊娠時に高血圧を発症する「妊娠高血圧症候群」を引き起こす可能性があります。
 結果として、胎内で赤ちゃんの発育が遅れたり、停止したりする場合があります。そのような状態を、「子宮内胎児発育遅滞(以下、FGR)」と言います。FGRは、母体の状態だけが原因で起こるわけではありません。しかし、お母さんの心身の状態が悪ければ胎児に満足な酸素や栄養が行き届かず、FGRが引き起こされることがあります。

抱え込まず、周囲へ相談を 周りの理解やサポートも大事

 我慢しすぎたり、悩みを抱え込んだりすることは、お母さんだけでなく、おなかの赤ちゃんにも悪影響を与える場合があります。赤ちゃんを守ることができるのはお母さんだけですので、自分の身体を大切にし、赤ちゃんを守るための判断をしましょう。ストレスの対処法として、切迫流産と診断されていない場合は、ストレッチなど体に負担をかけない程度の運動をしても大丈夫です。
 ただし、赤ちゃんのことを心配しすぎるとそれ自体がストレスになる場合もあります。難しいかもしれませんが、考えすぎないことも大切です。

早稲田 智夫 先生

アンジュレディースクリニック

金沢医科大大学院医学研究科修了。公立能登総合病院産婦人科医長、金沢医科大学医学部講師を経て、2015年6月より現職