最近よく耳にするRSウイルス感染症。どんな感染症か教えてください。

田丸先生の回答
特効薬はありません。家族全員で手洗い・うがいを徹底し、
乳幼児が感染しないよう注意しましょう

大人は症状が軽くても幼い子どもは要注意

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全国のRSウイルス感染症患者の届け出数(2011年第39週現在)
国立感染症研究所 感染症情報センターより引用。

例年、冬場に流行する感染症です。今年は7月ごろから過去にない勢いで患者数が増加していて、この冬の大流行が懸念されています。新生児期から3歳ごろまでに、ほぼ100%の子どもが一度は感染すると言われています。発熱、鼻水などの風邪症状で始まり、感染が下気道に拡がると細気管支炎・肺炎を発症、喘鳴や浅く速い呼吸、無呼吸発作(新生児)といった重篤な呼吸症状を引き起こすのが特徴です。特に6カ月未満の乳児、早期産児、呼吸器や心臓に疾患のある子は重症化しやすく、入院して、人工呼吸などのケアが必要な場合もあるので要注意です。RSウイルスは一生のうち何度も感染を繰り返します。小中学生や大人がかかった場合、症状が軽く普通の風邪と区別がつきにくいため、家族に感染者がいると、乳幼児にはより身近な感染源となってしまいます。

特効薬はないので手洗い・うがいで予防を

特効薬はありません。したがって重症化しやすい乳幼児を、いかに感染から守るかが重要です。流行期の注意点は 1.家族全員の手洗い、うがいの徹底 2.風邪をひいたら乳幼児に近づかない 3.人ごみを避ける 4.受動喫煙を避ける (タバコの煙は気道を刺激し咳症状を悪化させる) 5. シナジス(RSウイルスに対する免疫力を高める薬剤)の予防投与 (早期産児と慢性肺疾患・先天性心疾患のある子にのみ適応)。また感染すると喘息になりやすいとの報告もあり、予防が第一だと言えるでしょう。