子どもの歯並びが気になります。自然に治ることはないのでしょうか

嶋先生の回答
8歳までの歯並び治療は、顔の骨格を正しく成長させることがポイント。
鼻呼吸でオーラルポスチャーを整えて。

歯並びを決めるのは
持続的なオーラルポスチャー

5歳から8歳までの「歯並び治療」は、顔の成長誘導が基本で、そのためには 「オーラルポスチャー」 が整っているということが前提条件です。
「オーラルポスチャー」 とは日常、1. 舌が上に軽く押し当てられている、2. 唇は軽く上下で合わさる、3. 上、下の歯が軽く接触していることです。骨や歯は強い力では位置が変わりませんが、オーラルポスチャーのような弱くて持続的な力で驚くほど変わります。

正しい歯並びのためには
鼻呼吸で口元を引き締めて

例えば日に2000回にもなる『ゴックン』 が上手くいっていないと、その都度、舌の力が本来かかることのない歯を不正に押し、歯並びが乱れます。口をいつも開けている、鼻炎や扁桃肥大 (へんとうひだい)などで鼻呼吸できない、あるいは鼻呼吸の習慣がない場合、オーラルポスチャーを乱すことになります。逆に口が閉じているということは、鼻呼吸が活性化している現れです。

オーラルポスチャーが安定すれば、普段は口元が引き締まり、その間に頬骨や鼻、下あごが前へ発育するので、顔の奥行きの成長が良くなり、歯が生えるスペースも確保されやすくなります。不正なオーラルポスチャーを整えるためには早期からの治療が必要で、一般に5歳から8歳までに始めることが望ましいでしょう。

矯正治療としては機能的顎矯正装置 (上あご、下あごの成長をコントロールするための装置) を使用したり、舌や唇の正しい使い方を覚える筋機能療法などを行います。

嶋 浩人 先生

嶋 浩人 先生

しま矯正歯科 院長

新潟大学歯学部卒業、金沢医科大矯正歯科学教室を経て、2004年から現職。矯正歯科専門医。